クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『聖者たちの食卓』見てきた

毎日10万食が、訪れた人すべてに無料で提供されるインドの寺院を追ったドキュメンタリ-映画、『聖者たちの食卓』を見てきた。

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 給食費無料で、10万食を毎日、何年あるいは何十年以上もずっーと提供し続けてきたシステムって一体どうなってるの?という興味で見てきた。
 
 
上映時間は1時間と通常の映画より短い。ナレーションは一切なし。
 
 
インドの「黄金寺院」ハリマンディル・サーヒブで、食事が提供されるまでの一部始終を追っただけ。ただそれだけの映画。
 
 
テレビのバラエティ、シルシルミシルリアルスコープみたいな「この黄金寺院の巨大給食システムの裏側を見てみよう!」的なものを期待してたので、ちょっと肩すかし。
 
 
肩すかしはくらったけど、その「一部始終の動き」に無駄がなくてとても美しいので、映像を見るだけでも楽しめた。
 
 
二郎は鮨の夢を見る』で、寿司を握る姿が美しい。。と、その手許に魅入ってしまうのと同じようなもの。
 
 
1回あたり5千人(聖者たちの食卓HPより)が一堂に会するので、ナレーションがなくてもかなり賑やか。
 
 
人の声、食器が触れ合う時にたてる賑やかな音をBGMに、黄金寺院の一日を体感してきた。
 
 
ピカピカに磨かれた食器、隅々まで掃き清められる食堂や寺院がとても印象的。
 
 
最後の最後になってようやく、この場所がどういう場所なのかがわかる。どういう場所かがわかった後で、ピカピカの食器と掃き清められた食堂と、それを支える奉仕者の3つの組み合わせがとても大きな意味を持つんだと、納得した。
 
 
そこは”宗教も人種も階級も職業も関係なく、みなが公平にお腹を満たす”場所。
 
 
実際にはカースト制度も残るそんな場所で、もしも不衛生がもとで何らかの事故が起こったら?
 
 
きっとみなが平等な場所ではなくなってしまう。誰かがはじかれる。
 
 
この黄金寺院は、無償で働く人と、彼らを采配し監督する、お給料をもらってる人によって運営されている。
 
 
働いてる人たちが、もっとお給料が欲しいと言いだしお金を取るようになったら?
 
 
有料になったら、来られなくなる人も出てくる。やっぱり誰かがはじかれる。
 
 
”宗教も人種も階級も職業も関係なく、みなが公平にお腹を満たす”。そんな理想を現実にするために、多くを求めず毎日毎日同じことを繰り返す。
 
 
地味な積み重ねでしか、理想は現実にならない。でも理想が現実となった場所には、毎日10万人が訪れる。
 
 
誰かをはじいたりすることのないよう、ピカピカに磨かれた鍋に食器にその他モロモロ。
 
 
短いけど、ピカピカの鍋と食器がいつまでも頭の中をグルグルする、いい映画だった。
 
 
映画という形式にこだわることなく、動画、例えばYoutubeでたくさんの人に見てもらってもと思うけど、そっちの方がハードル高いのかも。
 
お休みなさーい。
(12月7日写真追加)