クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『めぐり逢わせのお弁当』見てきた。

『めぐり逢わせのお弁当』見てきた。

【600万個にひとつ】の奇跡のお弁当から生まれた珠玉の物語

こんなキャッチフレーズだったので、絶対ハートウォーミングな映画に違いないと見に行った。ハートウォーミング大好き。『にっぽん縦断こころ旅』とか、『世界ふれあい街歩き』、よく見てるくらいだから。

 
でもこの映画、どっちかっていうとハートブレイク、心がズキズキするようなストーリーだった。
 
 
今後間違いなく豊かになっていく国インドを舞台に、『みんな一緒に豊かにハッピーにはなれない』を描いてた。考えたら『にっぽん縦断こころ旅』や『世界ふれあい街歩き』と同じように、「よそはよそ、ウチはウチ」系に連なるかも。そりゃ好きだわ。

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インドのムンバイ(旧ボンベイ)という、平均的日本人には大変縁遠い場所が舞台ながら、殺人的通勤ラッシュや、路地裏でボール遊びする子ども達とそれを叱る大人など、デジャブ感がいっぱい。
 
 
知ってるわーこんな光景。
 
 
ポツポツと高層ビルが立ち並び、何台もの電車が行き交う駅風景は、開発前の大阪梅田を中津あたりから眺めたみたいだった。わかる人にしかわからない喩えですみません。
 
 
東京やNYはそもそも高層ビルでいっぱいだし、生活感あふれた街から生活が隅に追いやられていく雰囲気が、梅田に似てるなーと思ったのよね。
 
 
肌の色も濃いし、顔立ちもエキゾチックで生活様式も全く違うんだけど、その辺にいそうな人の話を聞いてるようだった。都会で大事な何かを失くした人の話聞いてるみたいで。

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社会の上層に居る人の生活様式や行動パターンが似たり寄ったりになるのと同じく、ほどほどな人のほどほどの生き方も似たり寄ったりになるのよね。
 
 
今までのインド映画は、よく歌ったり踊ったりしてる。歌って踊っていれば、きっとハッピーになれる。だけど、誰もが歌ったり踊ったり、今までの自分と違う一歩を、ためらいなく踏み出せるとは限らない。
 
 
ほどほどに生きる人の、もじもじっとした気持ちに寄り添ってくれる、ダッバーワーラーの手拍子が心地良かった。
 
 
ハーバードも認めた、誤配を許さない奇跡の弁当配達システムを担う、ダッバーワーラーがこの映画の影の主役、いってみればラスボスだね。
 

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お弁当を届けるという、生活に根差したシステムががっちり社会に根を張ってるかぎり、ほどほどにしか生きられない人の生活も、それなりに守られるんじゃないかな。理由があって支持されてるシステムは、きっとそれなりに生き残る。そんなことも思った。
 
 
お休みなさーい。