クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『詐欺の帝王』と『メディアの苦悩』読んだ。

終日曇り、時々雨な一日だった。七夕前に降る雨は、彦星が一年に一度の逢瀬のために牛車を洗う、「洗車雨(せんしゃう)」と呼ばれるとか。日本語の豊かさ、繊細さに、うっとりしたね。

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『詐欺の帝王』と『メディアの苦悩~28人の証言~』を読んだ。
一見関係無さげだけど、根っこで繋がってると思ったので、同時進行で読んでみた。

 

詐欺の帝王 (文春新書)

詐欺の帝王 (文春新書)

 
『詐欺の帝王』は、オレオレ詐欺のようなシステム詐欺、集団・グループで被害者を囲いこんで騙す詐欺を、大規模に指揮した人物についてのお話しだった。こちらは、都市伝説的挿話も頻繁に登場するので、眉に唾つけながら読んでた。

 

メディアの苦悩――28人の証言 (光文社新書)

メディアの苦悩――28人の証言 (光文社新書)

 

 『メディアの苦悩~28人の証言~』は、テレビやネット、新聞あるいは著名ブロガーによる、メディアの現状や展望についてのインタビュー集。各章の終わりに、その章の要点が簡潔にまとめられていて、親切だった。情弱でもよくわかるように、「メディアの今」が語られていた。

 
 
メディア、テレビやラジオ、新聞や雑誌、さらにはネットも、集団・組織で読者や視聴者に向けて情報を発信する。どちらも、信じてもらってなんぼな部分が共通してる。
 
 
それと、もともと発信力(システム詐欺の場合は騙す力だけど)のある個人の能力を、幾何級数的に増幅させることで成り立ってる部分も共通してる。そう思いながら読んでた。
 
 
『詐欺の帝王』その人は、イベントサークル出身者で、配下の半グレ集団を率いてお金になる方へと渡り歩いていたら、いつの間にか巨額のお金と影響力を手にするようになっていた。一種のサクセスストーリーだね。
 
凶悪というより、「小さな悪事や犯罪と判断できるなら、その実行をためらわない」、そうした人達で形成された、目端のきく集団を率いてた。
 
彼らは、まるで錬金術みたいにやすやすと大金を手にしていて(この辺しっかり眉に唾つけてた、信じてはいけない類の話しだと思ったから。)、賭場みたいに”場”、システムさえ作れば、あとは勝手に大金が転がり込んでくるようだった。
 
 
騙してなんぼ。騙される方が悪い。
 
 
もしも、小才が効いて、あんまりお金がなくて。そんな人がいたとしたら、今の時代、一生懸命ネットで稼ぐこと考えると思うんだよね。
 
 
アナログな場で、システムさえ作れば大金が転がり込むことを実感しちゃったら、こんどは仮想空間で、もっと効率よく稼ぐことを考え始めるんじゃなかろうか。
 
 
団塊の世代が大量退職を迎えるようになって、小才のきく若い人なら「きれいな表の仕事」で稼げる時代になるちょっと前、「きれいな仕事」から零れ落ちた人がどこに向かったのか。
 
 
そこから『メディアの苦悩』が始まったような気がした。
 
 
『メディアの苦悩』読んでると、パワーバランスが崩れてしまって、リバランスに向かってる、まさにその最中なんだと実感する。
 
リバランス後の青写真、いろいろあって面白い。
 
オレオレ詐欺、あるいは「母さん助けて詐欺」を検挙する際に、警察が彼らの手法を真似て、得意技を封じる事で検挙に至ったエピソードを思い出した。おぼろげだけど、他と接触できないよう電話かけ続けるプログラム実行したとか、確かそういうの。
 
リバランスに際しても、同じような手法が一部で用いられると勝手に予想してる。
 
 
ネットの扱いにも、たくさんの人を煽動するのにも長けた人が、個々人の罪悪感を軽くしながら、「表の場所」で存分に力を振るう。
 
 
そういう、ちょっと前なら顰蹙買いそうな手段が、正攻法として大手を振るう。そういう青写真もあるんだろうなと思ってる。
 
 
お休みなさーい。