今年のお正月は、「ガレット・デ・ロワ」が突如お正月のお菓子としてスイーツ市場に出現してて、面食らった。
お正月のお菓子といえば、「花びら餅」も「福ハ内」もあるのに、なぜ???
日仏修好230周年か何かで、フランス菓子を盛り上げよう。一般市民の知らない間に、そんな気運でも盛り上がってたんだろうか。適当にそんなこと考えた。
「ガレット・デ・ロワ」は、円形のパイ生地にアーモンドクリームを詰めて焼き上げた簡素なお菓子。パイの表面に麻の葉、太陽、月桂樹と、いろんな模様を描いてるのがまず特徴的なんだよね。
そ して「フェーヴ」と呼ばれる陶器製の人形が埋め込まれていて、「フェーヴ」が入ったひと切れを引き当てた人は、その日一日王様になれる。そんな遊び心もつまったお菓子で、公現節というキリスト教の祝日(1月6日)前後になると、一斉におフランスのケーキ屋さんやパン屋さんに並ぶお菓子らしい。
そんなお菓子が今年はいきなり日本でも脚光を浴びて、ケーキ屋さんだけでなくコンビニでも買えるようになってた。
なれし故郷を放たれた、フランス文化圏の人、神楽坂を中心にずいぶん増えたのかしら。
それとも「花びら餅」や「福ハ内」みたいなドメスティックなもの、もういい加減飽きたから、新しい何かが欲しかったのかしら。
疑問はつきないんだけど、食べる時期だけ合ってる祝日を祝うお菓子、全く違う文化圏から引っ張ってくるんだから、大したもんだわその探求心とか、未知への挑戦とか。それが商売でもそこは素直に感心する。
ひるがえって昨日4月1日はエイプリル・フールだった。
罪のない嘘を無邪気に楽しむ日だったように記憶してるんだけど、最近は笑うに笑えない”苦しい嘘”を目にすることが増えたから、昨日はあんまりネットに近寄らないようにしてた。
当人達だけが冗談として楽しんでるような、笑うに笑えない嘘、目にしてもちっとも楽しくないから。いつも虚実の間を行き来してると、嘘やいたずらに対する感覚、相当鈍っちゃうんだね。
フランスだと、エイプリル・フールはポワソン・ダブリル、「4月の魚」と呼ぶんだって。
魚の形をしたお菓子を食べたり、魚の形に切った紙を背中に貼るいたずらをしたりするらしい。つまんないこと言う人だな。そう思ったら、その人の口にめいっぱいチョコレート詰め込んでみたい。バレンタインの義理チョコの習慣は嫌いだけど、そういう形でなら、いくらでもチョコあげたい。
春の訪れを知る行事としてなら、エイプリル・フールよりそっちの方が断然いいなと思う。
お休みなさーい。