クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

檸檬

いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンイエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあのたけの詰まった紡錘形の恰好かっこうも。

 
好きといいつつも、そんなレモンが大爆発したらどんなに面白いだろうと考えるなんて、自分以外の他人の考える事なんて、ほんとわかんないもんだわ。
 
 
梶井基次郎『檸檬』ですっかり有名になった、京都は河原町通りにあった本屋さん、丸善京都店。2005年にいったん閉店となった際には、閉店をおしむお客さんが名残りのレモン爆弾をたくさん置いていったとニュースにもなってたんだよね。
 
 
あ らいい話じゃないと思いつつ、その後のレモン爆弾の行方がひそかに気になってた。だって、今どき何があるかわかんないから、どこの誰がいつ置いてったとも 知れないレモン、口にするわけにはいかないじゃない。私がお店の人で、「持って帰る?」って聞かれたとしても「やだ」って言ってたと思う。ただ置いておく だけで芳香剤代わりになる「かりん」と違って、レモンだとカットしない限りはあんまり”いい香り”はしないから、芳香剤になるわけでもなし。ほんと、あの 時のレモン爆弾、その後一体どうなったんだろう。
 
レモンといえば、あしながおじさんに出てきた体育館のプールをいっぱいにしていたレモンゼリーが、レモンゼリーといえば”クリケット”のレモンゼリーを即座に思い出す、ロマンより食い気脳。
 
 
クリケット”を思い出せば、”イノダ”のレモンメレンゲパイも恋しくなる。パイもいいけど、フォンダン・レモンケーキが美味しかったのは、”オ・グルニ エ・ドール”だったかな。レモン果汁が染みたケーキ生地を砂糖衣でコーティングした、一見シンプルなお菓子のこと。パウンド型で出てくる「ガトー・ウィークエン ド」と何が違うのって話したとこまで覚えてるんだけど。しゃべくりながら歩いてたから、どうにも記憶が不鮮明で、どこのお店だったか思い出せないや。
 
 
「ガ トー・ウィークエンド」は、「週末に食べたいお菓子」、「週末に家族や大勢で食べるお菓子」、「大切な人とゆったり過ごすための週末のお菓子」だって、よく 紹介されてる。レモンの爽やかな香りを嗅ぐと、確かにいい気分になれるんだよね。いい気分、ではあるんだけど、なんでこのケーキが週末に食べる特別なお菓子指定を 受けてるのかは謎。
 
 
一見シンプルだけど、実はそれなりに工程は凝ってるから、”週末にしか作れない”だったのか???
基本レモンは南国由来で貴重だったから、毎日食べるものでもなかったから週末限定だったのか???
どうして素直に「へー、大切な人とゆったり過ごすための週末のお菓子なんだって、素敵!」で終われないのか???
レモンについて考えると、人はどうにも変になるらしいことは、なんだかわかった。
 
 
週末で、ココロにも時間にもゆとりがあったので、「レモン・ソルト」作ってみた。

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いまだかつて成功したことがない、レモンクリームパスタへの大事な隠し玉なので、黄色いシロップが染みだしてくるまで大事に成長を見守るつもり。
 
お休みなさーい。
 
Daddy Long Legs (クイーンズコミックス)

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檸檬 (新潮文庫)

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レモン・インセスト (光文社文庫)

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