クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

のびやかに

天気予報通りに万全な防寒対策で武装してたから、これなら案外平気かもって厳冬の中てくてく歩いてみた。最近運動不足なもんで。歩いてる時は大丈夫だったけど芯から冷えたみたいで、暖房の前に陣取っていてもまだ暖まった気がしない。帰宅から相当時間経ってるんだけどね。

冷え恐るべし。
 
 
一体いくつくらいの人が書いてるのか、もう文章からだと全然わかんなくなったなーって、『バイオリニストに花束を』を読みながら思った。
 
 
文章読んでるだけだと、『のだめカンタービレ』の”のだめ”が、ほんのちょびっと分別わきまえるようになって、ふぎゃーとかプギャーとか奇声発する代わりに、その時の爆発しそうな気持ちをリリカルに書いてます。そんなイメージ。
 
 
それが、四十五年前に小学生だった人が書いてて、想像よりも実年齢いってたから、ちょっとだけ驚いた。年齢相応の文章っていうテンプレから外れてたから、ちょっと驚いたけど、年齢相応という枠から思いっきり自由に飛び跳ねてるから読んでても面白い。じゃあお前はどうなんだよっていうブーメランが返ってくるから、当然肯定してる。
 
 
N饗で第一バイオリン奏者だった人だけど、N饗のことを「カイシャ」って表現してみたり、花粉症シーズンの舞台を奏者はどう乗り切るのか。スリリングな鼻水との攻防が赤裸々に綴られてたりするんだよね。
 
 
す ごい重度の花粉症だから、花粉の季節には文化的催しにまわすリソースなんて精神のどこにも残されてないし、肉体的制約(それこそ上演中に鼻すするわけにい かないじゃん)もあるので、コンサートに行こうとも思わなかった。考えてみればソレ、演奏する人も同じ条件だったのね。すごく大変そう。
 
 
ピ アニストの中村鉱子さんが書いたエッセイなんかもそうだけど、普通じゃない経験をしてる人が、特殊な世界をわかりやすく面白く伝えてくれるから、読んでて も楽しい。クルクルの時代がかったヘアースタイルが特徴的な人で、テレビCMにも出てたくらい、一般への知名度も一時期は高かったんだよね。
 
中村鉱子さんが以前書いてた、どこかの音楽ホールの新築落成記念コンサートでのエピソードがお気に入り。ピアノ演奏してるうちに、どんどん気持ち良くなってきちゃって、今日の演奏はなんだかスゴイわーってま さに「天にも昇るような」心地でクライマックス迎えたら、ほんとに失神しちゃってたという。そんで、新築の建物だったから、揮発性の内装材にやられてて、 いってみれば急性のシンナー中毒だったという。そりゃ気持ち良くもなるよねという、新築落成記念ならではのエピソードがとっても素敵だった。
 
 
これからはもう、ハコ物なんて滅多に作られないからそんな機会もないかもだけど、新築落成記念だと、天にも昇るような、「天上の音楽」聴くチャンスかもね。
 

お休みなさーい。

 

バイオリニストに花束を (中公文庫)   

のだめカンタービレ(1)

ショパンに飽きたら、ミステリー (創元ライブラリ)