クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『まちモジ』読んだ

今の季節はすべって転んだりしないように、外歩く時は基本下向いて歩くようにしてる。なんだけど、 最近はできるだけ上向いて、会社や店舗、レストランや学校の看板文字見ながら歩いてる。
 
 
大体どの看板文字も丸まっちい。カクカクっとした、角が立ったよう な文字はあんまり見ない。なるほどー。日本の看板文字って、ほんとに丸ゴシックが多いんだね。
 
 
ま ちモジ 日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?を読んだ。読んだというより見た、眺めたの方が正しいかも。「文字観察本の決定版!!」となってるだ けあって、写真ものすごーくいっぱいだから。ついでに横書きだから、いってみれば「文字観察に特化したブログ」読んでるみたいだった。
 
書いたのは、フォントを作ることを職業としている、日本人書体デザイナーの方。主にデジタル欧文フォントのデザインをされてるそうです。
 
Times New Roman Italicくらいなら知ってるけど、Akko(アッコかな?)、Cochin(コシャン)、Plantin(プランタン)。これ全部フォントの名前なんだって知って、頭の中のへーボタンが3連打くらいされた。書体デザイナーなんて仕事があるなんてことも、へー知らなかったわーだからね。

まちモジ 日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?

 
書 体デザイナーの人が街角の文字にフォーカスして、道路標識・消火器・看板・注意書き・広告塔。世界中のあらゆる場所で使われている文字についての愛を叫 んでる。
 
 
《STOP》の標識写真を複数並べて、〇〇よりも△△の方が細いとか曲線柔らかいとか言われても、正直ウォーリーを探すよりも、その違いに気付く のは難しい。何回も見返してようやくそうなのかなー???って思えるような差に気が付けるんだから、ほんと文字に対する感性が鋭い。マンホールの 蓋に書かれた「W」の文字に、このW最高!ってテンション上がってて、Wの文字でこんだけ喜べるんだもん。はっきりいって可愛い。
 
 
読めない文字が目に飛び込んでくると、異国感、アウェーな感じがいや増す。ブエノスアイレスバンコクの街中で見掛ける文字、全然読めないからね。新市街と旧市街でも、看板文字に使われてる文字が変わってくるから、街の印象がなんだか変わって見えるんだよね。
 
 
新しくて便利な街は、スクラップアンドビルドでどんどん建物も建て替わっていくから、そのたびに看板文字も新しくなる。どこ行っても新しい街の印象があんま変わんないような気がするのは、文字=フォントから受ける印象に左右される部分が、結構大きいからかも。
 
 
この本書いた人はドイツ在住で、 書体デザインカンファレンスの審査員もやるような、いわばその世界のてっぺんにいるような、グローバルエリートのひとりなんだよね。そんな人が、大阪にい る「最後の手書き看板職人」に話を聴きに行き、実際に目の前で看板を書いてもらうというエピソードがあるんだけど、その部分がこの本の中で一番好きな部 分。
 
 
世界のてっぺんで新しいオリジナルを作ってる人が、「俺達で最後のオジ書き世代」とか、自虐をまじえて笑ってる職人さんの話を、とっても貴重なものとして捉えてる。オリジナルがどこから来るのか。そう考える時、非常に興味深いもん含んでるなーって思った。
 
 
同時に、「ものの価値」がわかる人なんていつだってごく少数なんだってことも思う。ついでに、後世に伝えたいような価値あるものを作り出せる人は、案外すごいことやってるって自覚も無しに、手を動かし続けてるんだろうなーと。
 
お休みなさーい。