クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

チャーミーグリーン

何の映画か忘れちゃったけど、多分アメリカ映画。タイトルも主演女優も主演男優も思い出せない。その映画で、それなりに年齢重ねて地位もあるカップルが、街中で若い恋人のように手を繋いで歩くシーンがあったんだよね。

 

ふざけながらも二人が仲良く手を繋いで歩いてたら、パーティなんかでよく会う顔見知りの金満マダムが車で通り掛かって、「こんな道端で、私達がするとは思えないようなことをしてるから、別人かと思ったわ」とか何とか嫌味言って走り去る。確かそんな感じのシーンだった。

 

チャーミーグリーンを使うと~♪手を繋ぎたくなる~♪ってフレーズを口ずさめる昭和脳だから、幾つになっても手繋ぐ位いいじゃんって、思ったのがまずひとつ。あと、年齢や立場に相応しくないと思われる行動とったら、すかさずイチャモンつける人が出てくるのは、日本に限ったことでもないのねーと思ったので、印象に残ってる。

 

肩抱かれるより、腕に手をからませるより、今も昔も手を繋ぐ方が好き。今もかよって感じだけど。

 

つきあい初めの頃は、たかが手を繋ぐだけでもぎこちなくて、スマートにいかないんだよね。一緒に歩いてたら、「ああっもう!」って突然相手が言い出して、一体何さって立ち止まったら、「手出して」って言われたことある。飴でもくれるのか?って思ってホレって手を出したら「違う」って言って、そのまま相手が手を繋いできて、初めて手を繋いで帰りましたとさ、なんてことが昔あった。

 

その時はなーんだ、単に手を繋ぎたかっただけなのね、って拍子抜けした。それと、こっちの話なんてあんま聞いてなかったんだねって思った。相手はずっと手を繋ぐタイミング計ってたのに、こっちは絶妙な間の悪さで振り切ってたらしいから。

 

でも、その時私の両手は荷物で塞がってたんだよね。左手は肩に架けたカバンの取っ手で、右手には雑貨か何かを買った小さな紙袋持ってたから。妙に丈夫にできた紙袋だったから、手繋いだのはいいけど、紙袋の角がグサグサ手首に刺さって痛かった。相手も同じだったと思うけど。

 

「ちゃんと手繋ぎたいから荷物持って」ってお願いすれば良かったなーって、今なら思う。割と何でもソツなくこなす人で、そんな不器用な面があるなんて、思いもよらなかったんだよね。

 

何でもソツなくこなす人は、やり方が本当にスマート。こっちが重そうな荷物抱えて身動きとれないの見兼ねて「荷物こっちに寄越していいんだよ」って、ちゃんと逃げ道用意してくれる。昔からその人となりを良く知っている、あるいは知ってる人にとても良く似ているから、渡した荷物がどこに行くのか。心配しなくてもいいから安心して手渡せた。

 

そんな風にわざわざ声に出さないだけで、こっちの負担軽くなるよう、そっと動いてくれる人もちゃんといるし。すごいなーって思う。すごいなーって尊敬の気持ちがあるから、信頼できるし、そんな信頼は、昨日今日では作れるもんじゃないし。

 

最初は小さい小石みたいなもんなの。積んでも積んでも何になるかわからなくて、途中で飽きて放り出しそうになるけど(私はなった)、諦めずに積み重ねて。そんな風に積み重ねてきたものは持たないから、代りにすごいねーと面白ーいとありがとーをいっぱい使いたい。